アイフル被害対策全国会議

平成18年4月28日

おまとめローンと調停の問題を考える集会in静岡報告

報告者 愛知県司法書士会
辻  守

 2006年4月22日(土)静岡県静岡市の静岡市民文化会館において「おまとめローンと調停の問題を考える集会」(以下、「おまとめ集会」)が開催された。開催の1週間前の14日に金融庁が強引な取立てをするなど違法行為が相次いでいたとして、アイフルに対して、国内約1900の全店舗を対象に、5月8日から3日間、貸し出しなど業務の大半を停止する行政処分を出した。さらに当日の午後、この業務停止命令を受け福田吉孝社長の謝罪会見も行われた。その後は、皆さんご承知の通りテレビ・新聞等のニュースやワイドショーは瞬く間にアイフル一色に染まりました。

 そんな世間がアイフルの話題で騒然となっている頃に、おまとめ集会が開催されたた事もあってか、当日の会場には溢れんばかりの入場者で埋まり立ち見が出るほどの大盛況なものであった。

 このように会場が熱気に包まれたなかで、アイフルの問題、おまとめローン・不動産担保ローン問題、ライフ・トライト訴訟、調停国賠訴訟判決等が報告された。

 以下、当日のおまとめ集会の概要を報告する。

第1としてアイフルの元従業員がテレビのインタビューで、アイフルの実態を証言するビデオが流れました。次に弁護士河野聡先生から、埼玉集会後の活動報告があった。

第2としておまとめローン・不動産担保ローン問題として、「おまとめローン研究会」(通称「おま研」)より報告があった。まず最初に弁護士岡島順治先生より「おまとめローン研究会」を発足した趣旨が高らかと宣言された。その目的は、まず、おまとめローンがいかなる場合に違法となるか、理論的基礎を提供すると共に、おまとめローンが早急に違法、無効であるとの判決をとり、司法書士会、金融庁、法務局等におまとめローンが違法であることを認識させて、最終的には法改正を実現することであった。次におまとめローンの問題点自体がまだまだ十分に意識されておらず、おまとめローンの具体的な問題点を洗い出すため事前に行ったアンケート調査の結果が司法書士小澤吉徳先生より報告された。次に、司法書士杉山陽一先生よりおまとめの被害事例が2つ報告された。被害事例1は、被害者は年金収入のみの夫婦で、本事例の特徴は、次の通りである。(1)借入れに至るまでに、訪問販売被害。(2)過払いのアイフルがおまとめ〔不要な返済のための貸付〕。(3)その後、借入額同額で、和光商事におまとめ〔手数料の収奪〕。(4)最後に一括払いの約定〔バルーンペイントメント〕。(5)再度、アイフルにおまとめ〔ころがし、キャッチボール〕。(6)支払能力に関係なく担保に基づく貸付〔夫婦の収入23万円でアイフルに対し毎月18万7600円の返済。内16万4600円は、78歳の夫が20年払い〕。次に被害事例2であるが、被害者は飲食店経営の67歳男性で、借入れの経緯は次の通りである。(1)無担保融資〔アコムから6万円借りる〕。(2)おまとめローンI・不動産担保取得〔アイク・平成13年2月・300万円〕。(3)おまとめローンII〜別業者への借換・不動産担保取得〔仲介業者の介在、和光・平成14年1月・550万円〕。(4)被害拡大〜不動産担保の極度額増額〔和光・平成14年11月・200万円→和光・平成15年9月・250万円→和光・平成15年12月・1150万円〕。(5)おまとめローンIII〜別業者のローンが付加・不動産担保取得〔典宝・平成17年3月・180万円〕(6)おまとめローンIV〜別業者へ借換・不動産担保取得〔アイフル・平成17年7月・2000万円〕(7)不動産売却に至る。次に司法書士辻守より2つのおまとめローンの判決紹介があった。判決紹介1は、名古屋地裁平成17年5月24日判決で、判旨は(1)過剰貸付であること、引直し計算によって債務を減額しうる可能性について一切説明することなく債務を一本化したこと、虚偽の広告で誘い出し保証人を確保した上で自らだけが債権者となったこと等から、貸付の違法性が強度であり、公序良俗に反するものとして無効。(2)貸金業者の貸付金については、不法原因給付にあたり、返還請求は認められない。であり、本判決は、債務一本化の違法性を認定し、この点で近時問題となっているおまとめローンへの対抗理論となりうる可能性がある。判決紹介2は、東京高等裁判所平成14年10月3日判決で、判旨は(1)一見すると通常の金融取引の外観を呈しているが、その実質は、借主の思慮の乏しさと法的知識の欠如を利用し、詐欺的な手段、方法を用いるなどして社会の一般的秩序に反する形で借主の資産を侵奪し、多大な財産的損害と精神的苦痛を与えるような金銭消費貸借契約及び根抵当権設定契約は、公序良俗に反し、無効。(2)貸金業者の行為は、社会生活及び社会感情に照らし反道徳的な醜悪な行為であること、及び、同様の被害が広がる可能性が存在すること等を考慮して、貸付金については、不法原因給付にあたり、返還請求は認められない。次に違法性の検討の報告として、まず弁護士藤澤智実先生よりおまとめローンの公序良俗違反性について要件論を中心に、第1におまとめローンの定義と問題点、第2に法律構成、第3に要件論と検討の報告があった。次いで弁護士岡島順治先生より錯誤による無効主張の検討の報告があった。次に司法書士中里功先生より金融庁に対する要請が報告された。提言の趣旨は次の通り、(1)貸金業者は、利用者の収入、職業、家族構成、他の債務、その他の状況から総合的に判断される支払能力を考慮することなく、不動産等の担保にのみ依拠して消費者に対して過剰与信を行ってはならないこと。(2)前項の実効性を確保するため、融資限度額について規制を設けること。(3)貸金業者が、他の利息制限法を超過する利息等が付された債務を清算する目的で融資を行う場合には、貸金業者に対し、当該債務を利息制限法に基づいて元本充当計算ができることの説明を義務付け、利用者の利益を最大限に尊重する措置を講ずること。(4)前項の融資の際には、利用者に対し、既存債務の借入先、返済日及び返済額を記載した書面並びに利息制限法に基づく元本充当計算書の交付を義務づけること。(5)その他、先進諸国における過剰貸付規制を導入すること。(6)過剰与信違反に対する民事効並びに刑事罰の規定を立法化すること。以上に関し、法改正を求めるものであった。次に司法書士古橋清二先生より日本司法書士連合会、各単位司法書士会への要請書が報告された。その要請の趣旨は次の通りである、日本司法書士会連合会及び単位司法書士会は、所属会員に対し、次の指導を徹底すること。(1)利息制限法所定の利率を超過する金銭債務を目的とする担保設定を受任してはならない。(2)担保設定等の不動産登記手続の受任に際し、委任者が、既存の債務を精算する目的で融資を受ける場合には、受任した司法書士は、その後見的な立場を自覚して、利息制限法所定の利率を超過した違法な弁済がなされることがないよう、説明及び助言をしなければならない。最後に「サラ金不動産担保貸付の廃止を求める決議」がなされた。

第3として、ライフ・トライト訴訟の報告があった。まず弁護士宮田尚典より、株式会社ライフ会社更生管財人が代表取締役であるアイフル(株)の虚偽開示について報告があった。次にトライトについて弁護士蔭山先生より神戸地裁洲本支部平成18年3月10日判決について、もっとも大事なことは、トライトが旧ハッピーの顧客に対する過払金返還債務の存在を知っていたことを裁判所に認めさせることである旨の報告がなされた。次いで弁護士池田慶子先生より現在津地方裁判所民事部合議係で継続中のレッ津トライト(トライトに対する過払金返還請求訴訟の控訴審)について、今後の見通しについて「勝つ」との力強い報告がありました。

第4として、調停対策会議より報告があった。まず最初に弁護士の岩重佳治先生より調停国家賠償訴訟判決について報告があった。当初から勝訴するのは困難であると認識していたにもかかわらず、実質的に勝訴に近い判決が出たというものであった。(本判決の付言を読めばあきらかであろう)岩重先生は、本判決を裁判官の独立の問題と分析して納得しようとなされていたが、同じ壇上にいた弁護士の伊澤先生の「裁判官が逃げた!」と言う言葉が私には強く印象に残りました。次に松山たちばなの会の青野貴美子さんより、愛媛県貸金業協会の行う債務整理と提訴について、報告があった。この提訴は、貸金業協会への警鐘で、裁判所の判断によっては、業界の今後に大きな影響を与えることは、間違いない。次に司法書士の小寺敬二先生より、調停成立後の過払訴訟について、調停がすでに終わっていても過払請求ができる旨の報告があった。次に司法書士の水谷英二先生より不動産担保のある特定調停の対応について、アイフルの不動産担保のある事案で将来利息カットで17条決定が出た旨の報告があった。今後、将来利息カットを、どの程度定着できるかが、不動産担保ローンの問題である。最後に弁護士の伊澤正之より調停対策会議の今後の課題として調停国家賠償訴訟判決の付言を受けて、どのうように取り組むかが報告された。全国の簡裁への声明、決議文は送付済みであるが、最高裁への要請活動、問題簡裁への具体的な抗議活動訴訟対策、110番などが課題としてあげられた。