貸金業者による不動産担保ローン禁止を求める意見書
2005(平成17)年6月15日
アイフル被害対策全国会議
代 表 弁護士 河野 聡
事務局 弁護士 辰巳裕規
〒650−0044
神戸市中央区東川崎町1−3−3
神戸ハーバーランドセンタービル10階
神戸合同法律事務所
TEL 078-371-0171
FAX 078-371-0175
URL:http://www.i-less.net/
代 表 弁護士 河野 聡
事務局 弁護士 辰巳裕規
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神戸市中央区東川崎町1−3−3
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意 見 の 趣 旨
- 貸金業者は,消費者たる資金需要者である顧客又は保証人に対して金銭消 費貸借契約又は保証契約(物上保証を含む)を締結するにあたり,当該顧客 又は保証人の所有する住宅又は住宅の敷地に抵当権又は根抵当権を設定して はならない。
- 貸金業者は,消費者たる資金需要者である顧客又は保証人に対して金銭消 費貸借契約又は保証契約(物上保証を含む)を締結するにあたり,当該顧客 又は保証人の所有する不動産に剰余を生じる見込みがないと認めるときは, 抵当権又は根抵当権を設定してはならない。
との条項を設けるため貸金業規制法を改正すべきである。
意 見 の 理 由
- アイフル株式会社など貸金業者は,近時不動産担保ローンの分野に進出し不動産担保ローンの口座数・貸付残高が飛躍的に増大している。なお不動産担保ローンにおいては,借主自身の所有する不動産が担保として提供される場合と連帯保証人の所有する不動産が担保として提供される場合がある。
- ところで,不動産担保ローンにおいては,無担保・無保証の消費者ローンに比し,貸付金額が数百万円もの高額となることが多い。そして貸付の際の約定利息についても年率10数%以上から,利息制限法を超える年率15%を超えるもの,年率20%を超えるものまで存する。サラリーマンや主婦など消費者たる借主がかかる高額の融資を高金利で受ければ,早晩返済に行き詰まり経済的に破綻し担保として提供した不動産を失う危機に直面することとなる。しかもアイフル株式会社などは,「おまとめローン」と称し,既に複数の貸金業者から多額の負債を抱えるに至った者を対象に,債務を一本化するための返済資金として数百万円もの高額な融資を行っており,主債務者の破綻はなお必至であることは明らかである。
このような貸付は,もとより借主・保証人の不動産を目的として貸付がなされているとしか評価できない(なお,米国ではかかる貸付を「略奪的貸付」と称している。資料3参照)。特に自らは何らの経済的対価を受けてい保証人の不動産が収奪されてしまうのである。 - 平成17年4月16日に設立されたアイフル被害対策全国会議では,アイフル株式会社による貸金トラブルについてアンケート等により情報を収集している。同会議が,電話相談窓口を設けたところ,開設後わずか50日間で合計125件もの相談があり(問い合わせを除く),そのうち74件が不動産担保ローンに関する苦情や相談であった。同社が積極的に推進している不動産担保ローンに関するトラブルが少なくないことが裏付けられたと言える。特に既に多重債務に陥っている主債務者に多額高利の貸付を行う際に,親族等を保証人とすること及び保証人の不動産を担保として提供することを要求し,不動産を提供する保証人には,不動産が担保として提供されること,主債務者の負債状況や返済能力,返済不能時には不動産を競売等により失いかねないことなどを十分に説明することなく安易に担保提供を求めていると評価せざるを得ないものが散見される。そして特に目を引くのは,かかる被害者が,高齢者・障害者である事案が次々と寄せられていることである。社会的弱者の生活基盤を奪う不動産担保ローンは健全な市場経済社会において存在は許容されない。
- そもそも消費者信用は,消費者の生活が継続し安定した収入が継続的に得られることを前提にその可処分所得の範囲内で返済が生活基盤を損なうことなく行える範囲ないでのみ,その存在価値・社会的意義が認められる。生活基盤を破壊せしめる過剰融資や高金利融資はもはや健全な市場社会で許容される消費者信用ではない。かかる意味において消費者信用は無担保・無保証が原則とされるものである。まして,借主や保証人の生活基盤たる住居を担保として貸付を行うということ自体,もはや健全な市場社会が存在を承認する消費者信用とは呼べないのである。貸金業者は,借主の返済能力を超える貸付を行ってはならないのであり(貸金業法13条1項),およそ早晩返済が滞ることが自明である高額・高金利の融資を消費者たる債務者に行い,債務者・保証人の生活の基盤たる住居を担保として徴求する不動産担保ローンは,そもそもその在自体過剰融資禁止規定に違反するものである(資料2参照)。
- なお我々の調査によれば,アイフルは,住宅ローンのための担保など先順位担保権者が存し既に余剰が存しなかったり,持分などというおよそ経済的合理性の少ない不動産所有権に対してまで担保設定を行っている(資料1参照)。銀行や政府系金融機関ではおよそ考えられないものである。しかし,かかる無剰余財産に対する担保設定をアイフルが行うのは,破綻時に債務者・保証人が不動産を売却し債務を整理しようとする際には,アイフルの担保権の存在が障害となり,競売によってはおよそ債権が回収できない立場にあるにも関わらず,任意手続に非協力な態度を示すことにより,結果として親族等からの返済を促す事実上の機能に着目したためと考えられる。また小規模個人再生や給与所得者再生手続を申立て住宅ローン特別条項の適用を求める際には非住宅ローン債権であるアイフルの不動産担保の存在が大きな障害となり,担保を抹消するために事実上弁済を迫られるか,再生手続を断念し自己破産せざるを得ないことになる。民事調停や任意整理手続においても同様である。このように無剰余不動産に対する担保設定は,債務者の経済的再起更正を妨害し,親族等に弁済を強制する機能しかもたらさず,特に住宅ローン自体が借入後直ちに担保割れの状態を招く,昨今デフレ期の我が国の経済事情下ではその存在意義・経済的合理性はおよそ認めがたい。
- 添付の資料にあるとおり,不動産担保ローンには高齢者・障害者を中心とした看過しがたい被害が存する。そこで,意見の趣旨のとおり,貸金業者は消費者たる借主・保証人から居住用不動産を担保として徴求してはならず,また無剰余不動産の担保設定を禁止すべきである。
以 上
添 付 資 料
- 資料1 アイフルホームページより
- アイフルは,不動産担保ローンを主力商品としているが「抵当順位や名義人は問いません。」と宣伝している。また上限2000万までカードでの出し入れが可能とのことである。
- 資料2 社団法人全国貸金業協会連合会「貸付けに関する自主規制基準の運用細則(例)」
- 過剰貸付け防止の関係(基準1)について「(1)基準1にいう過剰貸付けには,顧客の収入状況から将来返済が無理とわかっていながら担保権の実行を前提として貸付を行うこと等も含まれる。」とある。
- 資料3 消費者信用事情訪米調査報告書抜粋
- 米国の略奪的貸付は「複数債務を1本化するために貸し付けて,その所有する住宅に担保権を設定する場合に多く問題とされている」との報告がある。
- 資料4−1 行政処分申立書
- 認知症患者を保証人として不動産に担保を設定した被害事例
- 資料4−2 週刊金曜日2005.1.14号
- 上記事件についての記事
- 資料4−3 別冊宝島抜粋
- 上記事件についての記事及びアイフルの取立被害について
- 資料5 アイフル被害対策全国会議に寄せられた文書
- 視覚障害者の不動産に担保が設定された被害事例
- 資料6 訴状
- 全聾の聴覚障害者の不動産に担保が設定された被害事例
- 資料6−2 陳述書
- 上記訴訟の原告である全聾・聴覚障害者の陳述書
- 資料7 アイフルの不動産担保による被害体験報告
- 聾唖者の夫婦の不動産に担保が設定された被害事例
- 資料8 報告書
- 視覚障害者の不動産担保に担保が設定された被害事例
- 資料9 中日新聞記事
- 不動産担保ローンに注意を促す記事
この意見書は,H17.6.15貸金業制度等に関する懇談会(第4回会合)のページ(資料4−1−7)にも掲載されています。