報 告 書
〔視覚障害者の不動産に担保が設定された被害事例〕
〔視覚障害者の不動産に担保が設定された被害事例〕
弁護士 河野聡(大分県弁護士会)
- 被害者は、1922年7月30日生まれであるが、未成年の頃から視覚障害があり、20歳頃全盲となった。最終学歴は盲学校である。1959年には身体障害1級の障害者手帳の交付を受けている。字は全く書けず、自分の氏名も書けない。1971年頃まで自宅で鍼灸師をしていたが、聴覚障害が進行したこともあり、1971年頃以降は全く仕事はしていない。自宅から外出することもほとんどない。
- 被害者の妻は、1929年1月2日生まれで、時々パート勤務をする程度であり、生活苦のため相当以前から貸金業者から借入を繰り返して来たが、年金担保の借入をしており、返済に苦しんでいた。1998年3月に、被害者の妻はアイフルのおまとめローンの広告を見て、それまでの貸金業者からの借入をまとめようと考え、200万円の借入を申し込んだ。この時、被害者の妻は69歳でパート収入月2?3万円のみ、被害者は75歳で無職で年金収入2ヶ月で19万円位であった。
アイフルは、被害者所有名義の土地建物に極度額320万円の根抵当権を設定することで金200万円の貸付をし、金利だけで月額4万円位の支払をさせる契約をしたのである。 - 契約の時は、被害者の自宅にアイフルの南大分支店店長と思われる男性と、女性事務員が訪れ、被害者が字を書けないというと、被害者の手を握って、契約書やその他の書類の署名を書かせた。アイフルの店長は、被害者に対して、保証人になるかのような説明をしたが、根抵当権を設定すること、極度額が320万円であること、被害者の妻が支払を怠れば自宅が競売となることなどについての説明はしなかった。被害者は当時高度難聴となっており、アイフルの店長の話はほとんど聞こえていなかった。妻に言われるまま署名に協力しただけである。
- 2004年5月14日午後1時、当職が被害者と面談して話をしたが、難聴でかなりの大声を出さなければ意思疎通はできなかった。被害者は話をすると迎合的に相づちを打つが、法律的な話については理解できているようには思えなかった。連帯保証とか根抵当権ということの意味は理解できていないようだった。
以上