アイフル被害対策全国会議
貸金業者に対する取引履歴の迅速な開示の指導を求める要請書
近 畿 財 務 局 御中
2005年7月25日
アイフル被害対策全国会議
代表 弁護士 河  野   聡
貴庁も御承知のとおり貸金業者のほとんどは、利息制限法を超える利息の約定は超過部分について無効であるにもかかわらず、同法を超える高金利で庶民を顧客として融資を行い、暴利を貪っています。しかしながら、契約時に、約定利息が法律違反であることは知らされず、テレビCMや新聞等の広告でも法律違反の約定利息が堂々と示されており、これが利息制限法に違反することは視聴者・読者に全く知らされていません。その結果、払わなくても良いはずの利息・借金のために多重債務に陥り、自宅を失ったり、自己破産や自殺に至る者が今なお跡を絶ちません。
多重債務者について、債務を整理して経済的更生を図ることは、本人自身の利益にかなうのは勿論のこと、経済的な困窮から起こる犯罪や家庭の崩壊などを防止し、国民全体の利益である公共の安寧秩序を維持する観点からも必要不可欠なことです。多重債務者について任意に債務を整理しようとする場合、すべての金融業者からその取引履歴の開示を受けた上で、各債権者との間の法的に有効な債権債務を確定し、公平で平等な処理を図るのでなければその目的を達することはできません。ところが、多重債務者が債務を整理しようとするころには、その返済等に関する資料のすべてを保管しておらず、各業者との間の取引の詳細を債務者自身で明確にすることは現実的には困難です。
しかし貸金業者は、利息制限法を超える約定利息で長期にわたり貸付を繰り返しながら、過払金の返還を免れるなどの不法な目的のために、取引履歴の開示を拒み債務の整理に協力しません。これは、自己の営業利益のみを不当な手段によって追求する反社会的な行為に他なりません。
ところで最高裁判所平成17年7月19日判決は、貸金業規制法は、業務帳簿の作成・備付け義務を課して、貸金業者と債務者との間の貸付けに関する紛争の未然防止及び解決を図り、この趣旨をふまえて、金融庁事務ガイドラインが、貸金業者の監督に当たる者に対して、債務内容の開示要求に協力するよう貸金業者に促すことを求めていることや、債務者が、債務内容を正確に把握できない場合には、弁済計画を立てることが困難となったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る可能性があるのに対して、貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり、貸金業者に特段の負担は生じないことに鑑み、貸金業者は、保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うとしました。
貸金業者は、これまで開示要求に対して、金融庁事務ガイドラインは法的義務を発生させるものではないと主張して、自らの判断で取引履歴を出さないといった対応をしてきました。しかしながら、最高裁は取引履歴開示義務の根拠として、貸金業規制法及び同法の趣旨をふまえて定められた金融庁事務ガイドラインを挙げており、貸金業者の従来の対応が最高裁の判断に反するものであることは明らかです。
最高裁が取引履歴開示義務を肯定したことは、多重債務被害救済に大きな武器を与えるものであり、今後同様の多重債務被害を生じさせないためにも、上記最高裁の判断に従い、貸金業者に対する取引履歴の迅速な開示の指導を行うよう強く要請いたします。
以   上