アイフル被害対策全国会議
アイフルの宣伝広告掲載中止申入書
新聞社各位
平成17年9月16日
アイフル被害対策全国会議
代  表  弁護士 河 野  聡
事務局長  弁護士 辰 巳 裕 規
申入れの趣旨
新聞紙面における,アイフル株式会社の宣伝広告の掲載を直ちに中止するよう申し入れる。
申入れの理由
 当会議は,消費者金融大手のアイフル株式会社による被害が全国各地で発生していることを懸念する,全国クレジット・サラ金問題対策協議会(代表幹事 甲斐道太郎,事務局長 弁護士木村達也)所属の弁護士・司法書士・被害者の会が中心となって結成された団体である。
1 アイフル株式会社の被害実態について
 平成17年4月16日当会議設立集会開催以降,全国各地の一般市民からアイフル株式会社による貸金トラブルに関する相談が多数寄せられている。その被害事例の詳細については,別紙資料に掲載するところであるが,とりわけ,アイフル株式会社社員による取立て被害では,陰湿な言葉の暴力により債務者の人権を貶め人間としてのプライドを根本から奪い,毎日長時間繰り返される執拗な取立てにより正常な判断力さえ奪っていく実態が明らかにされた(資料1〜資料4)。また,アイフル株式会社が主力商品の一つとしている不動産担保ローンにおいては,もとより借主や保証人の不動産を目当てとした「略奪的貸付」と評価せざる得ないものも多い。アイフル株式会社は,不動産担保に関する十分な説明義務を果たすことなく,支払義務のない者を新たに連帯保証人兼物上保証人に仕立て上げ,全聾の聴覚障害者,視覚障害者,認知症者など社会的弱者の自宅に担保権を設定し,彼らの生活基盤さえ奪おうとしているのである(資料5〜資料6)。
2 アイフル株式会社の宣伝広告
 アイフル株式会社が業界トップとなった背景には、宣伝効果に因るところが大きいことは同社自身も認めているところである。
アイフル株式会社の2004年3月期決算によると約137億円、2005年3月期決算では約150億円という巨費が広告宣伝費として投じられている。この宣伝広告の内容についてはいうまでもなく、愛玩犬のチワワや女性人気タレントを起用し、アイフル株式会社がいかにもソフトで親しみやすい会社であるかのようなイメージを一般市民に対し繰り返し植えつけるものであり,今やそのイメージ戦略はアイフル株式会社の目論見どおり成功したといえる。
さらに同社は,今期における宣伝広告費について前期比19.5%増の約179億円を投じるとしており,新聞紙面における宣伝広告によって一般国民を欺き借金に対する感覚を鈍化させる戦略を今後も一層強化していくという。
3 新聞各社における倫理の欠如と違法行為の助長
 新聞の一般市民に対する影響力が大きいことは今さら言うまでもなく,問題は国民の知る権利に応えるという崇高な理念を有する新聞各社が、このような事実をどのように受け止めているのかである。
そもそもサラ金業者は強行法規たる利息制限法に違反する高金利貸付を行なっている。しかし,サラ金業者の新聞紙面における宣伝広告においては,約定利息が利息制限法に違反していることは一切示されず,違法・無効な約定利息があたかも適法・有効であるかのように示されている。
また,別紙被害例に掲げた事実は、極めて深刻な社会問題であって、当然に大きく報道されてしかるべきである。新聞各社が国民の知る権利に応え、国民生活の向上・発展に寄与することを自らの使命としているのであるならば、何故、このような事実が大きく報じられないのであろうか。
アイフル株式会社をはじめとするサラ金業者が、新聞各社のスポンサー企業であるがゆえにこれらの問題を大きく取り上げることができないとするならば、それはもはや報道機関としての体をなさないと言わざるをえない。
かつて,「腎臓,目ん玉売れ。」の報道で世の中を震撼させた日栄による悲惨な被害は,人々の記憶にも新しいところである。この時,新聞各社は、そこに達するまでにも全国各地で日栄による数々の被害が起きている事実を把握していたにもかかわらず,その被害実態を黙殺し,真実を国民に知らしめる機を遅らせ,より深刻な被害を拡大させた。このことは,とりもなおさず,一般国民の利益よりも自らの利益を優先させた結果の所作であったと言わざるを得ない。
しかしながら,新聞各社は,この事実を反省することなく,苦い経験を生かすこともなく,現在もなおサラ金から多額の広告収入を得,さらには,アイフル株式会社による被害実態から目を反らし,今また日栄被害を拡大させたときと全く同じ轍を踏もうとしている。新聞各社が,報道機関としての責任を果たさない限りは,アイフル株式会社による被害は日々拡大し続けるのである。
日本新聞協会による新聞広告倫理綱領は,「日本新聞協会の会員新聞社は新聞広告の社会的使命を認識して、常に倫理の向上に努め、読者の信頼にこたえなければならない。」と規定しているが,サラ金を広告主として迎えているような状況にあって,果たして現在の新聞各社が国民に対しこの理念を貫き通していると胸を張って明言できるのであろうか。
新聞各社が,市民に害悪をもたらすアイフル株式会社の業務実態に目を瞑り,同社の宣伝広告を掲載し続けることは同社の違法,不適正な業務に加担することに他ならない。また,今や深刻な社会問題となっている多重債務の構造的被害を助長し,ひいては借金を苦に自ら命を絶たざるをえない者や借金を原因とする犯罪をも生み出す要因を作出しているとも言え、極めて重大な問題である。
4 アイフル株式会社の宣伝広告掲載の中止を求める
 新聞各社が真の報道機関であるには,遵法精神を欠く企業に加担することなく、直ちにアイフル株式会社の新聞紙面における宣伝広告の掲載を中止することを申し入れるものである。
仮に、直ちに中止できないとしても、「貸金業者が行う貸付における約定利率は利息制限法に違反している事実,並びに,利息制限法を越える利息の支払い義務はない。」ことを,掲載する広告において明記することを義務づけ,これに応じない場合には広告の掲載を一時停止するなど迅速なる対応を要望するものである。
以上

≪被害事例≫
1 違法な取立て被害
資料1 アイフルの社員が、生活保護受給者である債務者の自宅を訪れ、お金を返すまでは帰らないと居座り、恐怖にかられた債務者から生活費である5,000円を取り立てた事例。(貸金業規制法21条1項違反)
資料2 アイフルの社員が、被害者の会の相談員に対し、「ばかたれ!」「くそじじぃ!」などと暴言を吐き、自己破産申立の撤回を強要した事例。(貸金業規制法21条1項違反)
平成17年8月8日熊本地裁提訴 損害賠償請求事件
資料3 入金に行き詰り2週間後には弁護士に債務整理を依頼するという被害者に対し、アイフルの社員が連日執拗な金策を迫った事例。(貸金業規制法21条1項違反)
平成17年8月5日松山地裁提訴 損害賠償請求事件 同日行政処分申立
資料4 主債務者(20年以上消息のない息子)の保証人ではない78歳の母親に対し、執拗に返済を迫り、親族等をまわり金策することを要求することにより事実上の第三者弁済を求めた事例。(貸金業規制法21条1項違反)
平成17年8月5日 行政処分申立
2 略奪的不動産担保
資料5 認知症により完全に意思能力がない債務者の父親が所有する不動産に、アイフルの社員が、そのことを認識しつつ、同人に連帯保証契約書及び根抵当権設定契約登記委任状に署名押印させて、同人所有の土地建物に根抵当権設定登記手続きをした事例。
平成17年4月18日行政処分申立
資料6 すでに過払いとなっている他社の債務をアイフルの増額融資により完済し一本化することが有利であるかのように勧誘し、債務者に重要な情報を開示せず自社との金銭消費貸借契約を締結に至らせた。債務者はこれにより、他社に対する過払金返還請求の機会を奪われ、この返還請求をなすことが困難な状況に追い込まれた事例。
平成17年4月22日大分地裁提訴 損害賠償等請求事件
資料7 視覚障害のある全盲の男性が所有する不動産に根抵当権を設定することを説明せず、根抵当権の法的効果も説明しないまま、この男性の手を握って根抵当権設定登記委任状に署名させた。アイフルは、男性の法的知識、理解力の欠如を知りつつ、これに乗じて担保を取得した事例。
平成17年6月21日大分地裁提訴 損害賠償等請求事件
資料8 全ろうの聴覚障害者が所有する不動産に根抵当権を設定することを十分に説明せず、無効な消費貸借契約に基づく債権を被担保債権として根抵当権を設定させた事例。
平成16年5月6日京都地裁提訴
資料9 返済能力のない主婦に対し過剰な貸付を行い、返済困難に陥るとおまとめローンをすすめ、返済義務のない夫を新たに保証人兼根抵当権設定者としてこの主婦に金500万円の融資をおこなった。夫に対しては、根抵当権を設定することを十分に説明せず、利息制限法引き直し計算による法律上有効な債務額を説明することもなかった事例。
任意整理事件
資料10  主債務者の父親の不動産に対し根抵当権設定登記をなし、その後アイフルは競売申立を行ったが、根抵当権設定当時、この父親は脳溢血のために自宅で寝たきりの状態であり、老人性精神病をわずらっており判断能力はなかった。最終的にアイフルは競売申立を取り下げ、根抵当権抹消登記に応じ連帯保証契約の無効を認めた事例。
平成17年6月2日裁判外で和解
3 取引履歴の不開示
資料11 債務者又は債務者代理人の弁護士・司法書士は債務整理にあたり、債権者に対し取引履歴の開示を求めるのが通常であるが、アイフルは取引履歴の一部を秘匿するなど全面開示義務に違反し、全面開示に応じない事例。このため債務整理全体に非常に大きな支障をきたし、債務者の経済的再生の機会を奪っている。
平成17年7月25日 不当利得利得返還一斉提訴
32都府県 26地裁 72簡裁 原告数483 請求金額合計3億7587万1367円
うち取引不開示に対する損害賠償請求額2381万円
資料12 当会議に寄せられた相談件数等