アイフル被害対策全国会議

期限の利益「当然」喪失約款の禁止及び
利息制限法4条1項の賠償額予定・違約金の制限を
制限利息の「1倍」とすることを求める意見書

2006年10月17日

アイフル被害対策全国会議
代 表 弁護士 河野  聡
事務局 弁護士 辰巳 裕規
神戸市中央区東川崎町1−3−3
神戸ハーバーランドセンタービル10階
神戸合同法律事務所内
Tel078-371-0171/Fax078-371-0175
URL:http://www.i-less.net

1.シティズの遅延損害金名目での高利徴求被害

 アイフル子会社商工ローン「シティズ」に関する最高裁判所平成18年1月13日判決等は、同社の期限の利益当然喪失特約のもとでの支払について任意性が認められないとして、貸金業規制法43条の「みなし弁済」規定の適用を否定しました。そして、同判決はシティズの期限の利益当然喪失約款は、制限超過利息にかかる部分について無効であることを判示しております。

 ところが、シティズは、上記最高裁判決後「みなし弁済」の主張は撤回する姿勢を見せるようになったものの、それに代わって、わずか数日の支払遅滞や支払の不足をもって期限の利益を喪失したとして、遅延損害金名目による高利収奪の主張を司法の場において展開しており、シティズの係争はなお終息には向かっておりません(添付の裁判例を参照)。

 シティズは、期限の利益を喪失したとする日以降も一括請求を書面等により行うことなく、そのまま以後の分割弁済金を継続的に収受しており、債務者のほとんどは自らが遅滞に陥っていること、遅延損害金名目で高利を徴収されていることを認識していません。しかるに債務者や保証人が利息制限法に基づく法定充当再計算の主張をはじめるや否や、わずか1日の支払遅滞、わずかな支払不足をもって期限の利益を当然喪失しているとして遅延損害金としての高利収受を主張しはじめるのです。これでは最高裁がシティズについて「みなし弁済」を否定し、多重債務者の高利融資からの救済を認めた画期的な判決の趣旨が没却されてしまいます。自ら利息制限法を超過する利息を収受し、過払金の返還を怠りながら、わずかな支払遅滞・不足をもって当然に期限の利益の喪失を主張することは正義・公平に反します。シティズの融資には連帯保証人が付されている場合が多く、期限の利益の得失に関与できない保証人に過剰な負担が課されることにもなります。

 私たちは、シティズの遅延損害金名目での高利徴求を許さないために司法の場において期限の利益が喪失されないことを認める判決を勝ち取っていく所存です。

2.遅延損害金名目による高利収奪を防止するための立法提言

(1)期限の利益「当然」喪失条項の禁止

 貸金業者による金銭消費貸借契約においては、債務者に期限の利益を認め、元本・利息について長期にわたる分割弁済とし、支払が遅滞した場合には期限の利益を喪失するという定めがなされているのが通常です。そして賃貸借契約などと同様長期におよぶ継続的な金銭消費貸借取引においては、支払期日を失念したり、支払金額を誤るなどして、わずかな遅滞・不足が生じることは決して珍しくありません。そして、債務者は、わずかな遅滞・不足では、直ちに法的制裁が課されないとの期待を有しているのが通常ですし、現にリボルビング方式における消費者金融の取引においては期限の利益を喪失させない扱いをしていることが多いものと認識しております。

 しかるに、何らの催告もなく、「当然に」期限の利益を喪失すると扱われると、債務者が期限の利益を喪失する事由に該当している事実の有無を確認し、過誤による支払遅滞・不足を解消する機会を奪われます。また遅滞に陥ったという認識を有することができないまま、その後も継続して高利を返済し続ける結果となる危険性があります。期限の利益を喪失するか否かは、一括返済金を準備することのできないことが通常である借主にとっては死活問題であり、期限の利益喪失の有無は明確にされなければなりません。

 そこで、期限の利益の喪失の有無という法律関係の明確化と遅延損害金名目による高利収奪の脱法を防止する観点から、割賦販売法5条1項を参考にして、期限の利益「当然」喪失約款は無効とし、「分割金の支払の遅滞が2回分以上に達し、かつ20日間以上の相当の期間を定めて書面で支払を催告し、その期間内に履行されないこと」を期限の利益喪失の要件とすることを求めます。

【参考 割賦販売法】

(契約の解除等の制限)

第5条1項 割賦販売業者は、割賦販売の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約について賦払金(第二条第一項第二号に規定する割賦販売の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約にあつては、弁済金。以下この項において同じ。)の支払の義務が履行されない場合において、二十日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができない。

(2)賠償額の予定・違約金は、利息と同一の制限利率とする。

 借主は借入残債務を一括返済する資力を有していないことが一般的であり、期限の利益を喪失し借入残債務を一括返済しなければならない状態となること自体が重大な制裁となります。そして期限の利益を喪失する場合、借主は既に多重債務となっているなど返済能力を欠いている場合が少なくありません。借入残債務に更に高額の遅延損害金を付加しても借主に借入残債務の一括返済を促す効果はなく、むしろ借主の債務状態を更に悪化させるだけとなります。利息制限法制限利息ですら高利である現状においては、期限の利益喪失後の借入残債務に利息相当額が課されるだけでも履行を促すための制裁としては十二分です。他方そもそも履行遅滞による貸金業者の実損害は「分割金×1条の制限利率×遅延日数」しか生じておらず、利息の「1倍」を超える賠償額の予定は貸金業者の「焼け太り」を認めるものです。消費者契約法が年率14.6%を超える損害金の約定を無効としていることに鑑みれば「制限利息」の1倍を超える損害金は明らかに高率であると言えます。遅延損害金名目による高利収奪の潜脱を防止する観点からも利息制限法4条の賠償額の予定・違約金は、制限利息の「1倍」とするよう定めることを求めます。

以     上