アイフル被害対策全国会議

貸金業規制に関する立法提言

2006年10月30日

アイフル被害対策全国会議
代 表 弁護士 河野  聡
事務局 弁護士 辰巳 裕規
神戸市中央区東川崎町1−3−3
神戸ハーバーランドセンタービル10階
神戸合同法律事務所内
TEL078-371-0171/Fax078-371-0175
URL:http://www.i-less.net

 アイフル被害対策全国会議は、これまでアイフルの不動産担保おまとめローン問題やアイフル子会社シティズの期限の利益当然喪失約款・遅延損害金問題について取り組んで参りました。不動産担保・おまとめローン被害や遅延損害金名目による高利徴求脱法を防止する観点から下記のとおりの立法提言を致します。

○提言1.貸金業者による不動産担保ローン規制

【提言の趣旨】

1.貸金業者による連帯保証人の不動産担保取得を禁止することを求める。

2.消費者契約に該当する金銭消費貸借契約においては貸金業者による借主の居住用不動産の担保取得を禁止する。

3.不動産の競売あるいは売却による回収を前提とする貸付を禁止するとともにこれに違反した担保設定行為は、行政処分の対象となるとともに民事上無効とする。

○提言2.信用情報の営業目的への転用の禁止

【提言の趣旨】

 貸金業者が融資勧誘の目的のために信用情報を取得する行為を禁止し、これに違反した行為については行政処分の対象とするのみならず刑事罰の対象とする。

○提言3.おまとめローン勧誘の規制

【提言の趣旨】

1.貸金業者が、利息制限法に違反した貸付にかかる債務の返済資金を融  資する場合には、返済の対象となる債務について利息制限法に基づく法  定充当再計算を先行すべきことを説明する義務を定める。

2.債務の返済資金を融資する場合には、連帯保証人を求めることを禁止  する。

○提言4.期限の利益「当然」喪失特約の禁止・遅延損害金

【提言の趣旨】

1.期限の利益「当然」喪失特約を禁止する。

2.期限の利益を喪失させる場合は、「分割金の支払の遅滞が2回分以上に達し、かつ20日間以上の相当の期間を定めて書面で支払を催告し、その期間内に履行されないこと」を期限の利益喪失の要件とする。

3.利息制限法4条の賠償額の予定・違約金は利息と同一とする。

4.消費者契約法上の消費者契約に該当する金銭消費貸借契約については、遅延損害金の上限を年率14.6%とする。

理    由

1.不動産担保ローン規制(提言1)

 そもそも貸金業者は借主の返済能力の範囲内でのみ融資をすることができるのであり、過剰融資禁止規定が実効化するのであれば、人的・物的担保は不要なはずである。

 アイフルについては不動産担保ローン被害が深刻である。特に自らは借入について何らの経済的恩恵を受けていない連帯保証人の不動産がねらわれるという被害が散見される。貸金業者側が初めから連帯保証人の不動産にねらいを付けて融資をしたとしか言いようの無い融資が横行している。そして借主と連帯保証人との間では人的・情誼的関係がある場合が多く、被害防止のためには説明義務の強化や形式的な書面交付では不十分である。

 そこで、連帯保証人という人的担保まで既に付けている融資においては、貸金業者はすでにリスク転嫁を図っているのであり、これに重ねて連帯保証人の不動産に担保を設定することは、類型的に借主の返済能力に依拠しない過剰融資であるとして実効的に禁止すべきである。また、もとより借主・連帯保証人の不動産の競売・売却による回収を目的とする融資は、借主の返済能力に依拠しない融資であるからこれも実効的に禁止すべきである(全国貸金業協会連合会の自主規制基準ではかかる融資は過剰融資に該当するとしている)。

 なお、居住用不動産の喪失は、借主の居住権・生存権を脅かすとともに経済的再起更生を著しく阻害することから、不動産を担保にしてまで融資を受ける需要が類型的に乏しい消費者契約に該当する金銭消費貸借契約においては、居住用不動産を担保に取ることを実効的に禁止すべきである。

 今改正法案においては過剰融資禁止規定が目玉の一つとされている。過剰融資の典型例である不動産担保ローンを厳しく規制すべきである。

2.信用情報の営業目的への転用禁止(提言2)

 信用情報制度は、借主の過剰融資を禁止するために設計されているものであり、借主の返済能力審査以外の目的に流用することは禁止されている。ところが、他社の顧客を取り込むこと、複数の債務の一本化を勧誘することを目的に信用情報を自動取得し、これをデータベース化して斡旋リストを作成し借入を勧誘するという手法が見受けられる。過剰融資を防止するための情報が借入勧誘のための資料に流用されることは本末転倒である。今改正法においては全貸金業者の信用情報機関登録を義務づけるが、貸金業者が信用情報を流用して顧客獲得競争を行う懸念がある。信用情報の営業目的への転用は行政処分の対象とするのみならず刑罰をもって禁止すべきである。

3.おまとめローン規制(提言3)

 貸金業者のみならず銀行も近時他社債務の返済、とりわけ複数の借入の一本化のための資金を融資する「おまとめローン」なる商品を宣伝している。しかし、返済の対象となる債務については利息制限法法定充当再計算を行うことなく名目上の約定債務をそのまま返済させているだけであり、借主に不要な融資を押しつけていることとなり、明らかな過剰融資となる。そこで返済の対象が利息制限法違反の貸付にかかる債務である場合には、融資に先立ち、利息制限法法定充当再計算をすべきことを説明する義務を定めるべきである。また、おまとめローンを必要とする借主は類型的に返済困難者が多く、これに連帯保証人をつけるならば多重債務被害が拡散してしまうことになる。また借主の返済能力ではなく連帯保証人からの返済に依拠する過剰融資を誘発する。そこで、おまとめローンにおいては連帯保証人を付することを禁止すべきである。

4.期限の利益喪失・遅延損害金規制(提言4)

 アイフル子会社商工ローン「シティズ」をめぐっては、本年1月の最高裁判決後も今なお全国各地の裁判所で係争が多数係属したままである。シティズは、長期継続的な金銭消費貸借取引においてわずか数日の遅延、わずかな支払不足を奇貨として期限の利益当然喪失条項により遅滞に陥ったという扱いとし、以後は遅延損害金名目で継続的に高利を徴求し続けるという金利規制の脱法をはかっている。連帯保証人は勿論、借主においても期限の利益喪失の事実を認識しないまま、遅延損害金名目となっていることを知らないまま高利を支払っている例が多い。このような期限の利益喪失時期をめぐる紛争を防止し、借主に期限の利益喪失の危険を認識させるために、期限の利益「当然」喪失約款を禁止するとともに書面による催告を要件とすることを定めるべきである(割賦販売法5条参照)。

 また、期限の利益を喪失する事態となった借主は類型的に経済状況が悪化しているのであり、制限利息を上回る損害金を付して一括返済をすることなどできない。期限の利益を喪失させ、これに制限利息相当が付されるだけでも履行を促すための十分な制裁となっている。そこで利息制限法4条の遅延損害金は利息と同額(1倍)とすべきである。更に、消費者契約法との整合性を考慮し、保証求償権における遅延損害金の上限についての法律解釈を明確にすべく、消費者契約となる金銭消費貸借契約については消費者契約法を優先させ年率14.6%とすべきである。

以  上