アイフル被害対策全国会議

社団法人全日本シーエム放送連盟 御中

ライフカードの
ACC CM FESTIVAL入賞に対する抗議声明

平成18年10月31日

アイフル被害対策全国会議
代  表  弁護士 河 野  聡
事務局長  弁護士 辰 巳 裕 規

抗議声明の趣旨

貴法人ACC CM FESTIVALにおけるライフカードの総務大臣賞/ACCグランプリの受賞に対し強く抗議を申し入れるとともに直ちに同賞の授与の撤回を求め、今年度ACC CMフェスティバルに入賞した作品を上映・公開する「入賞作品発表会」においてライフのCM上映・公開を中止することを求める。

申入れの理由

【はじめに】

当会議は、消費者金融大手のアイフル株式会社(以下、「アイフル」という)の業務実態の違法性を追求するとともに、民放主要テレビ局、新聞各社等に対して、アイフルのテレビCMの放送を直ちに中止するよう再三にわたり要請してきたところである。しかし残念ながら、この要請に応えて、アイフルのテレビCM放送を中止したテレビ局は皆無であったところ、この度、監督官庁たる金融庁が、アイフルの違法な業務実態に対し、全店舗について業務を停止するという極めて重い処分を課したことは貴法人においても十分認識しているものと思われる。この極めて重い処分にともない、アイフルはテレビCMを当分の間自粛するとして現在に至っている。

【ライフはアイフルの子会社である】

アイフル自体としては、テレビCMを自粛することによって、この事態を重く受け止め、社会的責任のある会社として深く反省しているかのようにも見受けられる。しかしアイフルは多くの会社を傘下に置くグループ企業であり、その子会社の中には大手信販会社の株式会社ライフ(以下、「ライフ」という)も含まれている。

ライフは資本金700億円、その出資比率はアイフルが95.88%を占める、いわば100%子会社に近いものであり、アイフルの完全影響下にある会社である。アイフルグループ全体としてみた場合、ライフは、グループの経常利益の約5分の1を占めるなど、アイフルグループにとって、まさにドル箱的存在であると同時に大手信販会社の持つブランドイメージを存分に利用できる貴重な存在となっているのである。このことからすれば、ひとりアイフルのみがテレビCMを自粛したところで、アイフルグループとしては経済的に何ら痛痒を感じていないであろうし、企業としての倫理を真摯に考えるのであれば、アイフルグループ全体としてテレビCM放送を自粛してしかるべきである。仮に個々の企業の社会的責任、あるいは企業倫理を考えれば足りるとしても、ライフの場合には、以下に述べるような違法な、あるいは社会的に問題視すべき業務実態がある。

【ライフの営業収益の実態】

ライフは、平成12年に会社更生の申立をし、翌平成13年に会社更生認可決定を得たのであるが、会社更生手続中の平成12年10月にアイフルとの間でスポンサー契約を締結し、同月アイフルの福田吉孝が会社更生管財人に選任され、その後、平成13年4月にアイフルの傘下となり、現在、同社の代表取締役会長はアイフル社長の福田吉孝が兼任している。

アイフル傘下となってからは、アイフルの営業ノウハウを利用して、経営を改善するとともに右肩上がりにカード会員数を伸ばし、平成18年3月末現在で会員数1309万6000人という契約数を誇る業界2位の信販会社となっている。信販会社の業務には、いわゆる割賦売掛業務、貸金業務、信用保証業務と大きく分けて3つの営業の柱があるが、ライフの場合、この3つの営業資産残高合計の半分以上を貸金業務が占めており、収益別に見ると実に約7割が貸付による収益となっているのである。つまり、ライフにとって大きな収益の柱は貸金業務ということなのである

ところで、貴法人においてもすでにご承知のとおり、貸金業等の規制に関する法律(以下、「貸金業規制法」という)第43条は、利息制限法を超えた利率による支払いであっても法律で定める厳しい条件をクリアーした場合には有効な弁済とみなす、としているが、昨年末からの相次ぐ最高裁判所の判決により、この43条のみなし弁済規定が適用されるような業務を行なっている貸金業者は皆無となったのである。つまり利息制限法を超える利率は全てブラックゾーンであり、そのような貸付を行っている貸金業者は違法な業務を行なっている業者であるということなのであるが、ライフの貸付利率をみてみると、翌月一括払の場合には実質年率29.2%、リボルビング払いの場合には実質年率28.8%と、サラ金と同じ、あるいはそれ以上という、利息制限法を超過する違法な利率となっているのである。ライフは、ブラックゾーンの利率に基づく違法な貸金業務を営業の柱としているのである。

大手信販会社であるというブランド力を背景とした安心感を顧客に与えながら、利息制限法を超過する違法な利率によって営業収益をあげていることは、ある意味ではサラ金よりも性質が悪く、ライフは、「羊の皮を被った狼」と言っても過言ではない。

さらに、ライフの悪質なところは、会社更生手続開始決定時において利息制限法に引き直せば過払金が生じていたにもかかわらず、約定利率での返済を顧客にさせておき、現時点でその過払金の返還請求をしても、もはや更正手続において過払債務は免責されているのだとしてこの請求に応じようとしないことである。当会議は、このライフの卑怯極まりない対応を問題視し、本年7月31日、ライフ及び福田吉孝に対し一斉提訴を行い、現在係争中である。

ライフの営業収益率は、UFJニコス、オリエントコーポレーション(オリコ)、ジャックスなどを大きく抑え、業界トップに君臨し、その経常利益は、平成14年度24億400万円であったものが倍倍ゲームのように利益を伸ばし、平成18年度には250億円を突破している。しかしこの収益の多くが、違法な利率による違法な貸金業務によるものであり、利用者の血と涙から搾り取ったものなのである。

【着物の次々販売などとの提携】

貴法人においてもすでにご承知のとおり、高齢女性を中心に狙った悪質リフォーム商法や着物の次々販売など悪質商法が社会的に問題となっているが、これらの取引には必ずと言っていいほどクレジット契約が絡んでいる。クレジット過剰与信対策全国会議が平成18年2月18日に行った「きもの不当販売110番」には、続々と悪質商法の被害事例が寄せられたのであるが、その被害アンケートの資料を参照すると、被害者は50代、60代が7割強であり、その月収は無収入、年金のみ、5万円未満の層が約半数に及んでいる。悪質業者は、これら高齢の低所得者に対し、高額なクレジット契約を締結させ、中にはクレジット総額が1000万円を超す被害も存在しているのである。

とうてい返済できないと思われる者に、クレジットで商品を買わせる商法は明らかに糾弾されるべきではあるが、ここでよく考えなければならないのは、これらの被害者はクレジット契約の与信審査が通らなければ被害に遭う事もなかったであろうという事実である。本来、返済能力が無ければ、クレジットの与信審査が通るはずは無いのであるが、なぜかこのような低所得者であっても、クレジットの与信審査は通っているのである。

このような悪質商法の被害救済のため、弁護士や司法書士が、商品などのクレジット契約先である信販会社に対し、既払い金の返還交渉をすると、決まって信販会社は自らが被害者であるかのごとく主張するのである。しかし、信販会社の無審査に近い与信実態がこれら悪質商法を助長させているのであって、実質的には悪質商法に加担し、自らは手を汚すことなく収益をあげながら、被害者面をする信販会社こそ社会的に糾弾されるべきなのである。

前述の「きもの不当販売110番」でのアンケートによると着物の不当販売と提携した信販会社で2番目に多かったのがライフであり、また、先般自己破産申請した着物販売の「愛染蔵」の被害者アンケートによると、クレジット契約件数で一番多かったのはライフなのである。

このようにライフは貸金業務において違法な高利を収奪しているのみならず、これら悪質商法と結託したクレジット契約も非常に多くなっており、まさに企業としてのコンプライアンス、企業倫理の欠如が露呈しているのである。

【まとめ】

ライフの親会社であるアイフルが、テレビCMを自粛することこそが社会に対し謝罪の姿勢を現すものだと考え、これを実践したように、テレビCMの一般市民に及ぼす影響力は計り知れないものがある。アイフルは、愛玩犬のチワワや女性人気タレントなどを起用し、ソフトでコミカルな親しみやすいイメージを、一般市民に植え付けることに見事に成功した。そして、今またライフも貴法人の栄誉ある賞を獲得し、幅広い年代層に受け入れられやすいチャーミングなイメージを社会に浸透させ、アイフルが行ったのと同様、したたかなイメージ戦略を展開しているのである。

貴法人の事業目的には、「表現の向上に関する視聴者の要望・意見の把握、視聴者団体等関係者間の相互理解の促進等を行うことによって、より良いシーエムの提供の実現に寄与し、もって国民生活の向上と放送文化の健全な発展に資することを目的とする。」とあるが、このたびのライフのテレビCM部門におけるグランプリ授与は、貴法人の崇高な理念に全く逆行するものと言わざるを得ない。

貴法人が、一般市民の生活にCMがいかに深く浸透しているかを十分に認識しつつ、ライフの違法な実態を見ることなく、国内最大の広告賞においてライフのCMを単に作品として評価し最高の賞を与え、国民にあやまったイメージを植えつけることは、違法な企業活動を助長させ一般市民の高金利被害、クレジット過剰与信被害を拡大させる行為に加担することにほかならない。

当会議は、貴法人が、ライフの問題性を十分に認識・検討し、放送倫理、放送基準に則り、ライフの総務大臣賞/ACCグランプリの授与を直ちに撤回し、今年度ACC CMフェスティバルに入賞した作品の上映・公開する「入賞作品発表会」においてライフのCM上映・公開を中止することを強く求めるものである。

以上