アイフル被害対策全国会議

改正貸金業法施行規則に関する意見書
〜「略奪的貸付」をなくすために〜

2007年7月27日

アイフル被害対策全国会議
代 表 弁護士 河野  聡
事務局 弁護士 辰巳 裕規
神戸市中央区東川崎町1−3−3
神戸ハーバーランドセンタービル10階
神戸合同法律事務所内
TEL078-371-0171/Fax078-371-0175
URL:http://www.i-less.net

第1.意見の趣旨

1.改正貸金業施行規則案10条の22第1項2号及び3号及び同条第2項3号については,下記の修正を加えるべきである。

(1)3号中「売却を予定している不動産の売却代金により弁済がされる貸付けに係る契約」とあるのを「現に売却手続に入っている不動産の売却代金により弁済がされる貸付けに係る契約」とすべきである。

(2)2号及び3号では、貸付けの金額は、不動産の価格の7割の範囲内を上限とすべきである。

(3)居住用不動産その他生活維持に不可欠な不動産の場合には、10条の22第2項3号において徴求する書面に、不動産の売却後の具体的な生活方法を記載した書面を加えるべきである。

2.保証人の居住用不動産を担保とする融資については、収入の3分の1規制の例外より除外すべきである。

第2.意見の理由

1.はじめに

 アイフル被害対策全国会議では、消費者金融大手アイフルが主力商品として展開し、多くの被害を出した不動産担保ローン問題に取り組んで参りました。アイフルにおいては、高齢者・障がい者の居住用不動産までもが担保にとられるといった被害が多発しております。また、不動産担保ローンが、既に複数の貸金業者から多額の負債を有するに至った多重債務者をターゲットに「おまとめローン」として利用され、もとより借主・保証人の不動産を売却することにより債権を回収することを企図した貸付、日本版「略奪的貸付」が横行しております。そこで、私たちは不動産担保ローン規制という観点から、改正貸金業法施行規則案に対し意見をいたします。

2.売却予定不動産がある場合の例外(3号)について(意見の趣旨1項(1))

 改正貸金業法施行規則案10条の22第1項3号は、2号と異なり居住用不動産等を含めて例外の対象としております。しかしながら、この「売却を予定している」との文言が曖昧であり、幅広い潜脱を招く危惧があります。この点、改正案の概要においては、「居宅その他生計維持に不可欠な不動産を担保にする場合には売却手続きに入っている場合のみ」と説明しているのですから、規則上の文言においても拡大解釈を招かないためにも「現に売却手続きに入っている不動産」とすべきです。

3.貸付けの金額の上限(2号及び3号)について(意見の趣旨第1項(2))

 改正貸金業法施行規則案10条の22第1項2号及び3号においては、貸付けの金額の上限を、「不動産の価格の範囲内」としていますが、不動産価格の下落による残債務の負担を招かないために、2号及び3号においては不動産の価格の7割の範囲内を貸付けの金額の上限とすべきと考えます。

4.居住用不動産等が売却予定不動産である場合の徴求書面(10条の第2項3号)について(意見の趣旨第3項)

 改正貸金業法施行規則案10条の22第2項3号は、売却予定不動産がある場合の例外の適用を受ける際に徴求する書面を列挙していますが、対象不動産が「居住用不動産その他生活維持に不可欠な不動産」の場合には、債務者保護の観点から、不動産売却後の居住など具体的な生活維持方法を記載した書面を加えるべきです(ガイドライン3−2−1(5)参照)。なお同号の書面の保存期間は10年とすべきです。

5.保証人の居住用不動産を担保とする融資については、収入の3分の1規制の例外より除外すべきである(意見の趣旨第2項)。

 改正貸金業法13条の2第2項は、同条1項の過剰融資禁止規定を具体化すべく原則として主債務者の収入の3分の1を超える貸付を禁止しており、改正法10条の22第1項各号はあくまでその例外規定です。ところで改正貸金業法においては保証人については13条の2第1項において一般的な過剰融資禁止規制がなされているものの、同条第2項が個人の主債務者に関して定める収入の3分の1規制のような具体的な過剰融資基準が明定されておりません。この点についてはガイドラインにおいて主債務者よりも厳しい基準が具体化されることを強く求めるところです。しかしながら、主債務者について同条2項の収入の3分の1規制に違反し原則的には過剰融資に該当する貸付について、さらに保証人を付け、その保証人の居住用不動産を担保とすることまで許容するのでは、貸金業者の保証人ねらい、居住用不動産ねらいの過剰融資による被害を防止することはできません。貸金業者が、あえて収入の3分の1規制を逸脱する貸付を行う以上は、そのリスクは全て自らが負うべきであり、安易に保証人に転嫁することを許すべきではありません。特に事業者ローンにおいては、保証人被害は顕著です。そこで少なくとも保証人の居住用不動産等を担保とする場合については、改正貸金業法施行規則10条の22第1項各号の例外の適用は全て除外すべきです。

6.補足

 改正貸金業法13条の2第2項の収入の3分の1規制は、過剰融資禁止という今般の貸金業法改正における柱の1つを具体化したものです。国会審議においては担当大臣は、内閣府令による例外をつくらないことを含めて検討する、とまで答弁しております。この例外規定が広範なものとなるならば過剰融資規制の実効性は損なわれますし、「個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約」と限定をつけて内閣府令に委任した改正貸金業法13条の2第2項に反するものとなります。私たちとしては、内閣府令による例外は本来は一切設けないとするのが改正貸金業法の趣旨に沿うものと考えております。また、配偶者の同意がある場合(主婦ローンが多いと思われる)(6号)・医療費ローン(7号)・事業者ローン(8号及び9号)の例外についても極めて問題が多いと考えております。確かに、改正貸金業法施行規則案10条の22第1項2号から居住用不動産等を除いたり、同項第5号のいわゆる「おまとめローン」の例外から新たに保証人・不動産担保を徴求することを除外している点など、不動産担保ローン被害を踏まえた規定が盛り込まれている点など評価できるところもございますが、今一度改正貸金業法の趣旨を踏まえて、収入の3分の1規制の例外について御再考いただきたくお願いする次第です。

以     上